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作品抜粋50頁から60頁

萬古長青日中誼,一衣帯水冠同倫。
  中華人民共和国国家主席胡錦涛閣下玉几下
  中國国家主席胡錦涛閣下5月6日來日。5月8日、在東京赤坂王子賓館新樓,挙行歓迎儀式。我作爲歓迎団体的一員,出席歓迎式,寫了歓迎的詩。面交胡錦涛閣下随員。

【日語】新陰の烟景、碧山の春,四海の弟兄、薀籍の賓。
湛露薫風、共に温恵,崑崙富士、兩ながら威神。
十億の諸氏、厚情の士,千胆の意気、俊逸の臣。
萬古長青、日中の誼,一衣帯水、同倫の冠たり。
  中華人民共和国国家主席胡錦涛閣下玉几下
  中國国家主席胡錦涛閣下は5月6日來日した。5月8日、在東京赤坂のプリンスホテル新館で,歓迎儀式が挙行された。我は歓迎団体的一員となり,歓迎式に出席し,歓迎的詩を創った。胡錦涛閣下随員に手渡した。


  歩韵張病知先生祝賀澳門回歸
澳門今古固君彊,宝地回歸我喜強。
熱血丹心成宿志,神州萬里悉騰揚。
人民事業憂家國,往事千肝豈能忘。
讀史思舊餘涕涙,一衣帯水祝辞長。

【日語】澳門は今も古も固より君が彊なり,
宝地の回歸に、我が喜びは強し。
熱血の丹心は宿志を成し,神州萬里、悉騰揚す。
人民の事業は家國を憂い,往事千肝、豈能忘んや。
史を讀み舊を思えば、涕涙を餘し,一衣帯水、祝辞は長し。

【注】美國紐約四海詩社社長、張病知先生から寄せられた手紙に添えてあった、澳門回帰の作品に歩韵した。


  祝賀戴振國陳暁瓊伉儷書法展
聲華渡海到吾郷,句句思君仰彼蒼。
揮筆筆端跳猛虎,對牋牋上發靈光。
應看百福家門盛,尚有千秋恵愛長。
玉硯澄神磨古墨,前途浩瀚兩鴛鴦。

【日語】聲華は海を渡り吾が郷に到り,句句君を思いて彼蒼を仰ぐ。
筆を揮えば筆端に猛虎跳り,牋に對すれば牋上に靈光を發す。
應に看る百福、家門の盛んなるに,尚有り千秋、恵愛の長きを。
玉硯、神澄まして古墨を磨せば,前途浩瀚たり兩鴛鴦。

【注】上海の戴振國先生と陳暁瓊女士のご夫妻が、伉儷書法展を開催するとの事で、祝賀詩を請われた。


  歩韵遼寧省葫蘆島畢彩雲先生玉作
東風一路共朋遊,鳥語間關花未稠。
攤舗四三無客問,墜紛一二使人愁。
過年追憶酬新詠,知己相逢登小丘。
泛泛江水如世変。杖頭携酒爲君留。

【日語】東風一路、朋と共に遊び,鳥語は間關として花未だ稠わす。
攤舗四三、客の問う無く,墜紛一二、人を使て愁しむ。
過年の追憶、新詠に酬い,知己相い逢うて小丘に登る。
泛泛たる江水は世の変る如く。杖頭に酒を携え君が爲に留まらん。


  用韵西安市白祖鄭先生玉稿
花陰半酔偸閑客,家族知音各有随。
壺地拈詩能養老,杖頭有酒亦移時。
縦横電燭春靄裏,上下楼船風景奇。
身世浮沈還不久,春雷一雨?何之?
【注】壺地;壺中天地

【日語】花陰半酔、閑を偸む客,家族知音、各随う有り。
壺地に詩を拈り能老を養い,杖頭に酒有りて亦時を移す。
縦横の電燭は春靄の裏に,上下の楼船は風景の奇。
身世浮沈は還不久や,春雷の一雨に?何之?

【解説】この作品の本旨は合聯、身世浮沈還不久,春雷一雨?何之?に、夫れを手繰り寄せると糸口がある。


  和韵夾西省熊朝元先生玉稿
一陣空動簾,雷聲震枕邊。
窗前駆驟雨,樹底騒残蝉。

【日語】一陣は空しく簾は動き,雷聲は枕邊に震う。
窗前の驟雨は駆け,樹底に残蝉は騒ぐ。

【解説】この作品は後對格である。
 窗前駆驟雨, 出句
 樹底騒残蝉。 落句


  次韵遼寧省李怡風先生玉稿
花落随風散,麦秋擁刺眠。
禿頭羞素志,敲句堕無邉。
  把収穫麦的時期称爲所謂麦秋,因爲日本初夏収穫麦、把初夏也称爲麦秋。

【注】麦秋;日本での麦作は、前年の秋に蒔いて、初夏に刈り取る。即ち麦の収穫時期は、麦に取っての秋である。因って日本では初夏を「麦秋」と謂うが、この言葉は、日本では通じるが、中国大陸では通じないようである。


  次韵青島市王永義先生玉稿
白雨天如洗,遙雷駆半空。
彷徨貧活恨,老痩草亭風。

【日語】白雨は天を洗うが如く,遙雷は半空を駆ける。
彷徨して貧活を恨み,老痩は草亭の風に。

【意訳】夕立は天を洗うように、遥か遠くの空を駆けている。安定しない生活の貧しさを恨み、ボロ屋に棲む私・・・。


  和韵安徽省除効敏先生玉稿
矮屋南柯夢,微聴檐馬鳴。
兩耳蝉咽騒,一縷蚊香軽。
守拙相思友,投詩豈欲名。
來孫眠正醒,拭汗笑斯生。

【日語】矮屋南柯の夢,微に檐馬の鳴を聴く。
兩耳は蝉咽騒しく,一縷は蚊香軽し。
拙を守る相い思うの友,詩を投じ豈に名を欲せんや。
孫來りて眠は正に醒め,汗を拭いて斯の生を笑う。

【解説】夏の暑い日、詩人が自己陶酔に耽っていると、孫が来て、現実の世界に引き戻されてしまう。この作品の要は、來孫眠正醒,拭汗笑斯生。に有る。此の聯がなかったら、訴えることのない平凡な白日夢の作品になってしまうのである。


  點景石上之春花歩伐相随フランス薜理茂先生玉稿
寒風二月一村春,地無廣狭自有因。
僅少窪坑狼藉土,嫩芽緑緑著渾身。
許多柔葉蕭疎雨,耀日紅紅経幾旬。
當暖暖如慈愛褥,階前點景勝肥茵。
  被太陽温暖的點景石,到夜晩也暖,如父母的恩愛。

【日語】寒風二月一村の春,地に廣狭は無く自から因る有り。
僅少な窪坑、狼藉の土,嫩芽は緑緑として渾身を著ける。
許多の柔葉、蕭疎の雨,耀日は紅紅として幾旬かを経る。
當に暖暖は慈愛の褥の如く,階前の點景は肥茵に勝る。

【意訳】太陽に温暖被點景石は,夜晩に到りてもまだ暖かい,父與母的恩愛と同様だ。

【解説】生活環境と人の生き様を謂っている。此を自分の生き様に重ねてみる。


  穀雨経旬歩伐相随張英傑先生玉稿(マレーシア)
兩三小蕾避寒霞,穀雨経旬未足誇。
燕子歸來春已去,舞風落地亦残花。

【日語】兩三の小蕾は寒霞を避け,穀雨経旬未だ誇に足ず。
燕子は歸り來り春は已に去り,風は舞い地に落ちて亦た花を残。


  老人歩伐相随方永施先生玉稿(アメリカ)
寒香一白不忘期,馥郁魁春巧吐奇。
離俗養身無來友,舊知黄鳥到梅枝。

【日語】寒香一白期を忘れず,馥郁と春に魁け巧に奇を吐く。
俗を離れ身を養い友の來る無く,舊知の黄鳥が梅枝に到る。


  一鉤凉月歩伐相随李東山先生玉稿(シンガポール)
蟲聲満地日西傾,雨洗残炎凉意盈。
何恨空閨擦枕泪,一鉤凉月透林明。

【日語】蟲聲は地に満て日は西に傾き,雨は残炎を洗いて凉意盈つ。
何んぞ恨まん空閨に枕泪を擦すを,一鉤の凉月は林を透して明なり。


  陋巷雑詠歩伐相随廖蘊山先生玉稿(オーストラリア)
寒輕菊老雪晴初,訪客不知満架書。
破壁没憂茶換酒,一枝一葉一心虚。

【日語】寒は輕く菊は老い雪晴の初め,訪客は知らず満架の書を。
破壁に没憂茶を酒に換え,一枝一葉一心虚。


  枝頭残雪歩伐相随廖國先生玉稿(スエーデン)
枝頭残雪竹籬邊,凍指摘芽候気先。
欲給春香晩餐菜,寸心況復罩厨烟。

【日語】枝頭の残雪竹籬の邊,凍指で芽を摘み気候に先んず。
春香を給せんとす晩餐の菜に,寸心況んや復た厨烟罩むと。


  竹馬登仙歩伐相随葉星球先生玉稿(フランス)
寒窗破壁夜方深,竹馬登仙冷透襟。
読罷信書燈欲凍,紛紛暁雪白塵侵。

【日語】寒窗破壁夜は方に深く,竹馬登仙して冷は襟を透す。
信書を読み罷め燈凍えんと欲,紛紛たる暁雪は白塵侵す。


  濃春遠景歩伐相随黄育順先生玉稿(フランス)
濃春遠景緑陰繁,山麓農家聊避喧。
却覚浮世多薄命,落紅任地自無言。

【日語】濃春の遠景緑陰繁く,山麓の農家は聊か喧を避ける。
却て覚ゆ浮世に薄命多きと,紅は落ち地に任せ自から言無し。

紀念

    慶祝松戸市民新聞(蔵頭格)
   松緑竹剛梅幽香,
   戸戸呈祥趁初陽。
   市政六十風物改,
民聲勃勃窈窕章。
新年玉案清筆硯,
聞望萬里集君堂。

【注】著者は松戸のタウン紙「松戸市民新聞」に漢詩詞関連の記事を載せて貰っていた。お正月号に慶祝記事とこの作品を載せた。


  偲歌 新年口號
新春椒酒,老妻淡香。四十餘歳,共有霜。

【日語】新春の椒酒,老妻の淡香。四十餘歳,共に霜有り。

【解説】偲歌は男女の情を叙す事が定型としての規定で、日本の都々逸に対応し、文字の綴りは4+4+4+3字で構成される。
 老妻淡香。四十餘歳,とは、四十年余りの夫婦でも、女性の色香は有ると謂っている。


  望海潮・慶祝堂兄弟古稀
  霏霏氷雪,層層楓壑,何忘竹馬連牀。繊月破窓,残燈禿筆,傅聞少小離郷。千里棄垂楊。有愛妻慈友,題句飛觴。鴛鴦錬勉,赤心多歳伏龍翔。
  憂看道滅躓狂。愾官民腐敗,世路豺狼。先哲四書,今人萬言,一講忽滌塵腸。眷属集君堂。娯霜刀妙舞,幽韻琳琅。緬懐青春半生,祥慶託詞章。

【日語】霏霏たる氷雪,層層たる楓壑,何ぞ忘れん竹馬連牀せしを。繊月の破窓,残燈の禿筆,傅え聞く少小の離郷を。千里、垂楊を棄てたり。愛妻と慈友有りて,句を題し飛觴す。鴛鴦は錬勉し,赤心にして多歳、伏龍は翔く。

  憂いて、道が滅し躓狂うを看る。官民の腐敗に愾り,世路は豺狼す。先哲の四書,今人の萬言,一講すれば忽ち塵腸を滌う。眷属は君が堂に集り。霜刀の妙舞を娯しみ,幽韻琳琅たり。緬に青春の半生を懐い,祥慶詞章に託さん。


  新歳試筆
荊妻屠蘇酒,門前梅一枝。
千編詩就未?破帽閃暁曦。

【日語】荊妻、屠蘇の酒,門前、梅一枝。
千編の詩未だ就ず?破帽に暁曦閃く。


  新歳偶感
陋巷無人到,先慶双寿觴。
魁春黄鳥囀,痩朶雪梅香。
有酔青蛾笑,細腰銀絲光。
浮生追往事,胸裏慰風霜。
白首無冠楽,依依互相望。

【日語】新歳偶たま感ず
陋巷に人の到る無く,先ず慶す双寿の觴を。
春に魁け、黄鳥は囀り,痩朶の雪梅は香る。
酔有青蛾は笑い,細腰の銀絲は光る。
浮生は往事を追い,胸裏に風霜を慰む。
白首は無冠を楽み,依依として互に相い望む。


  新緑試筆 五言絶句 順讀
躬老春園寂,幽窗與舊居。
風塵抛筆硯,宿志題未詩。

【日語】躬は老いて春園は寂しく,幽窗與舊居と。
風塵は筆硯を抛ち,宿志は未だ詩を題せず。

  新緑試筆      倒讀
詩未題志宿,硯筆抛塵風。
居舊與窗幽,寂園春老躬。

詩は未だ志宿を題せずして,硯筆を塵風に抛たん。
居は舊くして窗の幽けさ與と,寂しき園に春老いるの躬なり。

【解説】回文詩と謂って、作品のどちらから読んでも読める作品である。新年の遊戯に創ってみるのも楽しい。詩家の技倆が試される場面でもある。


  新歳口號四首
蓬蓬瑞気曙光紅,萬里鴻書字字雄。
電視難抛報興廃,屠蘇双酌亦思融。

【解説】新年に誰でも創る作品で、意図も漠然である。文字面通りで他意はなく、程程もあれば程遠い作品もある。

【解説】日本の詩家には、日本の景物を中國の景物に置き換えたり、文物を置き換えたりする人が居るが、詩詞は文字遊びでは無い。中國になくて日本にしかないものは、“○○○”と書いて、注;を書けば良いのである。テレビなら、電視と書けばよい。携帯電話なら、手機と書けばよい。
 詩詞を書くのに、状況は今も昔も殆ど変わっていないのである。山川や風月や、人の喜怒哀楽などの感情も、今でも昔でも同じである。
 変わったのは建造物や道具や社会構成だけで、詩詞の本質的なところは何も変わっていないのである。詩詞を綴るのに詩語で書かなければ成らないという規定は何処にもない。口語は不可、文章語、書面語で書く!と謂われている。

慶晨錦字到家時,賀詞呈祥道踏之。
新句舊章詩會友,春陽双樹自生枝。

【日語】慶晨の錦字が我が家に到る時,祝の言葉は祥を呈し道を踏み之。
新句舊章は詩に因りて友と會し,春陽の双樹は自ら枝を生ず。

【解説】作品を読み解く糸口は、春陽双樹自生枝にある

千門賀信拝年初,萬戸農民踏雪鋤。
夙昔偏思千古意,閑窗再壘百家書。

【日語】千門の賀信は拝年の初,萬戸の農民は雪を踏み鋤く。
夙昔偏に思う千古の意,窗を閑じ再び壘なる百家の書。

【解説】新年に誰でも創る作品で、意図も漠然である。文字面通りで他意はなく、程程もあれば程遠い作品もある。

應愚失覇俗塵侵,歴史歪曲未有尋。
成守財奴消歳月,暖衣飽食売郷心。

【日語】應に覇を失し俗塵に侵る愚,歴史は歪曲して、未だ有尋なし。
守財奴と成り歳月を消し,暖衣飽食して郷心を売る。

【解説】意図を解く糸口は、合句の暖衣飽食売郷心にある。

【意訳】自国の国家意識にも欠け、つまらぬ物事に明け暮れ、歴史を歪曲して朦朧とした状況にあっても、本当の意味での歴史を尋ねようともしない。自分で使えない金庫番に成り下がって、お金儲けにばかり歳月を使い、餌を貰って満足し、人としての真心までも売ってしまっている。

曄歌坤歌偲歌瀛歌三連五七律自由漢詩笠翁対韻羊角対漢歌漢俳填詞詩余元曲散曲楹聯はこの講座に記載があります