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編輯後記

 茲に提示の日本漢詩作品は、著者が黒潮吟社(和歌山県 主宰 高橋藍川師)の門を叩いて数年後に関わった作品である。その当時、著者は朱筆を為して居た記憶があり、其れから数十年後の今冬、詩稿の整理をしていると、多くの絶句と律詩の紙片が出て来た。

 一部の紙片には、詩語を抽出した辞書の名称と、頁数が添え書きされていて、辞書には日本の辞書と中國の辞書があり、字義の解説が適宜書き込まれていたのである。

 朱筆依頼された作品には、自作の参考作品と、詩語の解説を付けた記憶があり、恐らく是はその朱筆控えで有ろう。

 著者は是の紙片を見て、これの有効利用は出来ないものかと案じた。この作品を国際通用させるには、聊かの懸念はあるが、国内用には、学習教材としての価値があるので、編集方法を工夫すれば、充分に活用できると確信した。

 先ずは詩法学習の効果から、絶句は又の機会に譲って、律詩だけを採用した。稿を春夏秋冬と雑の五項に分け、作品毎に日本語読みと詩語の解説を為せば、古典風作品の付いた詩語辞典となり、著者が参考に添付した作品は読者の評価に任せるが、他者の作品は、日本国内漢詩壇では、模範的な作品と言える。

 本書は作品と詩語が備わっているので、先ずは創作の模倣対象にすれば、日本漢詩の入門には好都合である。

 本書を上梓するに当たり幾つかの考慮すべき点が有った。先ずは掲載する作品の多くが、著者にとっては相当に昔の作品で、而も他人様の作品と混在している事である。

 詩法解説のために、著者が速成添付した作品は聊か稚拙であるが、その他は他人様の作品で、それらの作品は国内漢詩壇で模範に値する作品である。

 本来ならその作者に断りを入れる處だが、作者に関わる情報が既に散逸して、それを把握することは出来なかった。因って、自他の判別をせずにそのまま掲載し、日本漢詩の場合は読みも作品の一部との認識があるので、詩稿に添えられた投稿者の読みを、殆どその儘転記した。

 自作の作品なら作品評価も一向に差し支えないが、他人様の作品を勝手に評価するほど著者は傲慢ではない。因って、作品に対する評も一切行わない事とした。

 当時の著者は、未だ中華詩詞壇通用の詩法を修得していなかったので、朱筆の為に添付した作例は、従来の日本漢詩壇の詩法「日本漢詩」を踏襲して創作した。

 本書掲載の作品は朱筆詩稿の流用で、何方様の作品かは解らぬが、敬意を表し、断り無く掲載させて戴いた。

 

 お断りしておきますが、本冊掲載の作品を真似て創作為されても、現代中華詩詞壇では殆ど評価の対象に成りません。

 

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  2009/11/08

         著作権者 中山栄造

 

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