漢詩詞定型宋詞慶宜和 中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座こちらからお探し下さい

慶宣和TopPage

 漢民族韻文は、詩と並んで詞が大きな要素を占める。詩の定型が十数体に比べて詞の定型は二千余体有るとも言われている。小生が中國詩友から寄せられた作品や同人誌から収集した詞譜、即ち現在通用の詩体だけでも二百余体有った。

 詞の構成は、詩と類似点の多い形式から詞独特の形式まで雑多である。中国語の基本に則り、二字句を基本とした作品が多い。

 詞に用いる韵として「詞韵」が謂われているが、詞韵と佩文詩韵を比べた場合、概ね、佩文詩韵より韵分類の数を減らし簡略にしたと謂える。そもそも佩文詩韵そのものが過去の文化と成りつつある現状に於いて、其れと根幹を同じくする詞韵の立場は、佩文詩韵と同じといえる。依って、現在では「現代韵」を用いることが妥当である。

 全部とはと限らないが、概ね以下の如くである。

1−
 2字は語彙の基本

2−
 3字は 1+2 或いは 2+1

3−
 4字は 2+2

4−
 5字は 2+3 或いは 3+2

5−
 6字は 2+2+2 
 註: 3+3ではない。

6−
 9字ほどの句は有るが、概ね前項記載の方法の延長上にある。

7−
 平仄と韵の配置を詞譜と言う。

8−
 詞譜に付いた名称を詞牌と言う。

9−作品の書き方は、先ず詞牌名を書き、「憶江南・與君赴故郷」とするか、詞牌名を後に書き、「與君赴故郷・調寄憶江南」とする。ただ詞牌名と本来の題名が同じ時は、「本意憶江南」と書く。

10−

慶宣和
▲●○○▲●☆
▲●○☆
▲●○○●○☆
去★
去★

註:去;第四聲(去聲)の文字を用いる。
註:★;仄韵を用いる。この場合は第三聲(上聲)の韵を用いる。

 詞譜の記載は上記のように、頭を揃えて記載する方法が一般的であるが、創作の場合とリズムを知るには、末字を揃えた方が、理解が得られやすい。

  慶宣和
▲●○○▲●☆。
     ▲●○☆。
▲●○○●○☆。
         去★。
         去★。

注: 第四句第五句は對仗

11−
 作品の内容は、詩と比べてどう違うのか?と言うと、詩の発祥は邑歌と言われているが、歳月の経過と共に、現在一般に見られる形態と成った。詞の発祥は、詩より大分遅れて、宋の時代と言われている。

 当時謡われていた歌謡のリズムが固定化されたと言われている。簡単に言えば、日本で言う「替え歌」の類である。中華詩壇の現在の作品を見ると、その文言は歌謡の様である。

12−
 注意点:
 日本人の作品に、詩で述べるべき内容を、単に詞譜に合わせて書き込んだ作品を見受けるが、一考を要す。

13−
 作例−1

  慶宣和・美人飲酒

▲●○○▲●☆
句句思君歳月頻 (4+3)

    ▲●○☆
    花顔純真

▲●○○●○☆
双燕回巣往来頻 (4+3)

       去★
       倒酒

       去★
       恨我

 作例−2

  慶宣和・美人待月

▲●○○▲●☆
半夜開窗慰此躬 (4+3)

     ▲●○☆
     繊指浅紅

▲●○○●○☆ (3+4)
白露圓新月如弓

        去★
        欲寄

        去★
        欲委

 

 作例−3

  慶宣和・船員獨愁

▲●○○▲●☆ (3+4)
獨自斟商埠酒家

    ▲●○☆
    新月窗紗

▲●○○●○☆ (4+3)
忘難羇情一枝花

        去★
        月影

        去★
        月影

14-
 詞の作品数の数え方は「門+癸 ケツ que4」で有る。首とは書かない。
 Waveにこの文字が無いので、やむを得ず「首」を用いています。(編者)

 

注:◎ 平聲仄聲を問わない押韵
注:☆ 平聲の韵
注:★ 仄聲の韵
注:● 仄聲
注:○ 平聲
注:△ 基本は平聲だが仄聲でも可
注:▲ 基本は仄聲だが平聲でも可
注: 領字
注:※ 句法に叶えば平聲仄聲を問わない

 

 

自由詩散曲元曲楹聯漢詩笠翁対韻羊角対漢歌漢俳填詞詩余曄歌坤歌偲歌瀛歌三連五七律はこの講座にあります