漢詩詞定型律詩 中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座こちらからお探し下さい

律詩TopPage

 絶句の構成として起承轉合はよく言われるが、律詩の構成について起承轉合はあまり言われない。言われないからと言って起承轉合が無い訳ではない。

 ただ律詩は絶句よりは構造が複雑で、簡単に起承轉合に分けられないのかも知れない。絶句は句を一つの単位にするのに対し、律詩は聯(章)を基本単位として、起聯(首聯)・頷聯・頸聯・合聯(結聯)の四っの聯(章)で成り立っている。

 律詩の構成は、
出句+落句 ;起聯(首聯)
出句+對句 ;頷聯
出句+對句 ;頸聯
出句+落句 ;合聯(結聯)

の八句で構成され、頷聯と頸聯は、対仗を必須条件である。聯の叙事趣旨(起承轉合)の配置は、絶句とほぼ同じである。

 作例を示して、八句の相互関係を考察すると・・・・・

 鉄路途上 七言律詩
衝天火車傍街行,景物如奔暫忘情。細々左窓存古道,迢々右指見江城。
遊人歓喜数觴酒,鉄路飆輪一日程。飽客眠醒何処是,模糊廣野暮雲横。

これは、中国大陸を鉄道で移動したときの作で有るが、これをバラバラにすると・・・・

1−衝天火車傍街行,
2−景物如奔暫忘情。
3−細々左窓存古道,
4−迢々右指見江城。
5−遊人歓喜数觴酒,
6−鉄路飆輪一日程。
7−飽客眠醒何処是,
8−模糊廣野暮雲横。

と成る。

これを更に並べ替えると
1−衝天・・・,○→2−景物・・・。→3−細々・・・,→4−迢々・・・。
        ↓
         →5−遊人・・・,→6−鉄路・・・。

7−飽客眠醒何処是,8−模糊廣野暮雲横。

1+2 起聯で出だしの句である。

1−衝天火車傍街行,と手軽に入れる入り口とする。

2−景物如奔暫忘情。は、「衝天火車傍街行」の句末の意を継いで、内容を深くする。

3−細々左窓存古道,は、「景物如奔暫忘情」の意を継いで、更に細部に至る。

4−迢々右指見江城。は、「細々左窓存古道」の対句で、趣旨を同じく視点を異にして述べる。

     3+4 頷聯で起聯の意を受けて、続ける。

5−遊人歓喜数觴酒,は、「衝天火車傍街行」の句末の意を継ぎ、途切れない程度に離れた視点から述べる。

6−鉄路飆輪一日程。は、「遊人歓喜数觴酒」の意を継いで、内容を深くする。

      5+6 頸聯で絶句の転句と同じように、視点を変えて綴る。

7−飽客眠醒何処是,は、「細々左窓存古道+迢々右指見江城」と、「遊人歓喜数觴酒+鉄路飆輪一日程」の四句を収束させる句で有る。

8−模糊廣野暮雲横。は、「飽客眠醒何処是」の意を継いで内容を深くする。

      7+8 合聯で結論を導き出すための聯である。

 この様な配置で句を綴ると大過ない作品が出来る。

 

楹聯散曲元曲自由漢詩笠翁対韻羊角対漢歌漢俳填詞詩余曄歌坤歌偲歌瀛歌三連五七律はこの講座にあります