漢詩詞定型五言排律 中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座こちらからお探し下さい
五言排律TopPage
排律とは一般に律詩(八句構成)でない詩形を謂い、五言排律も七言排律も有りそうだ。ただ六句の場合は排律と並んで「三韵律」とも謂はれている。
まず五言排律の場合は、古典の作品でも現代詩壇の作品でも屡々目にする事が出来る。
七言排律の場合は、古典作品を見ると、僅かに数首確認するだけで、無いに等しい。次に現代詩詞壇の作品を見ると、偶に目にする事がある。
五言排律に付いて、十二句以上の偶数句の定形を云う!と云う人もいれば、八句以外の偶数句の定形を云う!と云う人もいる。作詞の立場から云えば、それらに云々を云う事もあるまい。名称は兎も角として趣旨を最も的確に表現できる定形を選ぶことが先決である。
定形の平仄配置と対杖の要件は、前二句と後二句だけを対杖の要件から外し、前後に挟まれる句は全て、対杖を要件とするのである。
六句の場合 (三韵律)
●●○○●,○○●●☆。
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。
遊高千穂峡
一水残炎退,白雲指顧中。
遊人迷狭径,巖壁聳虚空。
滾滾渓谷韵,低頭拝古宮。
六句の場合
○○○●●,●●●○☆。
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。
特徴:
1−五言絶句よりも幾分情緒的な雰囲気を醸し出す事が出来る。
2−やや硬さを持った七言絶句に相当する。
十句の場合
●●○○●,○○●●☆。
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。
遊高千穂峡
一水残炎退,白雲指顧中。
遊人迷狭径,巖壁聳虚空。
滾滾渓谷韵,悠悠歳月工。
澄心思萬世,閉目會千雄。
浄境神仙宅,綺勝筆硯功。
十句の場合
○○○●●,●●●○☆。
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。
特徴:
1−五言律詩よりもやや柔らか味を持った、情緒的な表現が出来る。
2−やや硬さを持った七言律詩に相当する。
十二句の場合
●●○○●,○○●●☆。
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。
遊高千穂峡
一水残炎退,白雲指顧中。
遊人迷狭径,巖壁聳虚空。
滾滾渓谷韵,悠悠歳月工。
澄心思萬世,閉目會千雄。
浄境神仙宅,綺勝筆硯功。
書窗凭机案,陋巷已秋風。
十二句の場合
○○○●●,●●●○☆。
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。
特徴:
1−表現に幾分の硬さはあるが、七言律詩よりも情緒的な表現が出来る。
2−七言の排律は、一般的ではないので、七言十句以上の趣旨を述べるには、五言排律十二句以上を用いることとなる。
3−句数の多い五言排律は、古詩や詞と、格律の選択上競合する場合がある。
4−日本では七言排律は定型の範疇に無いようだが、漢民族詩詞壇では、七言排律の作品も見受けられます。
十四句の場合
●●○○●,○○●●☆。
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。
遊高千穂峡
一水残炎退,白雲指顧中。
遊人迷狭径,巖壁聳虚空。
滾滾渓谷韵,悠悠歳月工。
澄心思萬世,有夢會千雄。
浄境神仙宅,綺勝筆硯功。
遣懐談古意,閉眼問鴻濛。
陋巷詩成癖,書窗興未終。
十四句の場合
○○○●●,●●●○☆。
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。対杖
●●○○●,○○●●☆。対杖
○○○●●,●●●○☆。
以下同様に句数を増やすことが出来るが、存在意義は狭まる。
評:
同一の詩題で順次句数を増やして提示した。これを見る限り五言句は、六句は中途半端となり、十句・十二句・十四句までが限度で、それ以上は却って詩形の欠点が多く顕れる。
注:五言絶句や五言律詩の第一句は押韻しないものが多い。日本のテキストには、押韻しない事が正格で有るかのように書かれているが、本来押韻するかしないかの規定はない。「押韻しない作品が多い」と理解すべきである。
注:◎ 平聲仄聲を問わない押韵
注:。 韵點と言います
注:, 句点と言います
注:☆ 平聲の韵
注:★ 仄聲の韵
注:● 仄聲
注:○ 平聲
注:△ 基本は平聲だが仄聲でも可
注:▲ 基本は仄聲だが平聲でも可
注:● 領字
注:※ 句法に叶えば平聲仄聲を問わない
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