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實接TopPage

 実接の語彙は絶句に謂われることが多い。実とは概ね目に見える事柄、即ち客観描写を指して謂う。目に見える事柄を書いた句を実句と言い、絶句の第3句目、即ち転句が実句で有る場合を「実接」の詩と謂う。

 唐詩三百首から実接の詩を捜してみると、

桃花谿 張旭
隠隠飛橋隔野煙,石磯西畔問漁船。
桃花尽日随流水,洞在清渓何処邉。

春宮怨 王昌齢
昨夜風開露井桃,未央前殿月輪高。
平陽歌舞新承寵,簾外春寒賜錦袍。

送孟浩然之廣陵 李白
故人西辭黄鶴樓,煙花三月下揚州。
孤帆遠景碧空尽,惟見長江天際流。

下江陵 李白
朝辞白帝彩雲間,千里江陵一日還。
両岸猿聲啼不住,軽舟已過萬重山。

逢入京使 岑参
故園東望路漫漫,雙袖龍鍾涙不乾。
馬上相逢無紙筆,憑君傳語報平安。

楓橋夜泊 張継
月落烏啼霜満天,江楓漁火對愁眠。
姑蘇城外寒山寺,夜半鐘聲到客船。

 摘出すれば際限がないので六首に止めた。実句とか虚句とは一句全体の趣旨から謂うのだが、実字を以て始まる句は必然的に客観的に物事を述べ、虚字を以て始まる句は主観的な感情や思考を述べるもの、即ち虚句が多い。

 転句が實句の場合に、他の三句の實虚の配置は、創作に当たっての興味有る要件となる。即ち

1− 実・実・実・実。
 詩は景を以て情を顕すものだから、客観的な物事ばかりでは、情を導きにくい。

2− 実・実・実・虚。
 起承が客観描写で、更に転換を効かすべき転句が更に客観描写では、意の転換が難しいが、結句が主観的感情描写なので、転合の釣り合いから謂えば、正鵠を得ている。

3− 実・虚・実・虚。
 最も安定した組み合わせで有るが、合句の虚を注意しないと転句の実に照応して柔弱に陥りやすい。然し安定したことに安心して手を抜くと、凡作に陥りやすい。

4− 虚・虚・実・虚。
 最も創りにくい組み合わせである。余程の注意をしないと主観柔弱に陥りやすい。

5− 虚・虚・実・実。
 起承の虚句は主観に陥ることに注意を払い、合句に情を含ませれば、安定した作品と成る。

6− 虚・実・実・実。

7− 実・虚・実・実。

 以上の組み合わせが考えられるが、実と虚が塩梅良く組み合わされた方が、全体の安定性が有って創りやすい。

  晩秋 編者
  其一
新酒青山痩,秋老昼掩門。
開窗残柿在,回首旧題存。

  其二
秋深門巷早寒生,茅屋荒籬葉葉声。
有酒無詩残菊在,多年百事是虚名。

  芳草雨
萬紫無人掃,誰知隔歳華。
新園芳草雨,舊邸侍臣家。

  勝花時
柿熟芭蕉裂,雲流節序移。
應看残照外,一路勝花時。

  飄花江上
尺雪闢V地,飄花江上風。
囲炉村路絶,袖手一釣翁。

 

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