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元和体

　元和とは唐の憲宗の年号（紀元806〜820）である。「元和体」という言葉が最初に看られるのは、「唐書・元ｼﾝ（禾+眞）傳」である。元ｼﾝは詩に優れ、白居易の詩風に近い。この事から一般的に元和体と呼ぶように成った。

　元和体の特色は、杜甫の現実主義の伝統を継承し、庶民の苦しみを表現している。詩の形式に於いては、新楽府のスタイルを創造した。新楽府は総て美しい叙事詩に成っており、韻律が調和しており言葉も分かりやすい。内容は生き生きとして、上品で美しく独特の風格を持っている。その為当時非常に流行った。後世にも大きな影響を及ぼしたので、史論家は元・白の二人を「元白体」又は「長慶体」と呼んでいる。

　　遺悲懐  其の二　元
昔日戯言身後意，今朝皆到眼前来。
衣裳已施行看尽，針線猶存末忍開。
尚想旧情憐婢僕，也曾因夢送銭財。
誠知此恨人人有，貧賤夫妻百事哀。
注：元３１歳のとき妻は２７歳で没した。

　　聞楽天授江州司馬　元
残灯無焔影憧憧，此夕聞君謫九江。
垂死病中驚坐起，暗風吹雨入寒窓。

　　行宮　　元
寥落古行宮，宮花寂寞紅。
白頭宮女在，閑坐説玄宗。

　　王昭君其一　白居易
満面胡沙満鬢風，眉銷残黛臉銷紅。
愁苦辛勤憔悴尽，如今却似画図中。

　　王昭君其二 　白居易
漢使卻迴憑寄語，黄金何日贖蛾眉。
君王若問妾顔色，莫道不如宮裏時。

　　草(古原草） 白居易
離離原上草，一歳一枯栄。
野火焼不尽，春風吹又生。
遠芳侵古道，晴翠接荒城。
又送王孫去，萋萋満別情。

　　三月三十日題慈恩寺 　白居易
慈恩春色今朝尽，尽日徘徊倚寺門。
惆悵春帰留不得，紫藤花下漸黄昏。

　　晩秋閑居 　白居易
地僻門深少送迎，披衣閑坐養幽情。
秋庭不掃攜藤杖，閑梧桐黄葉行。

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