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 漢詩を全く知らなくていきなり訪れる人のために、最低限の知識を集めた。

佳作を作るには要件がある
佳作の要件を書き出すと

これが揃うほど佳作になる
1−訴えたい事柄
2−識って欲しいという心情
3−作品創作の意欲
4−容易に読める
5−耳障りが好い
6−現在通用の詩法
7−語彙は詩語
8−景物と心情を材料に

 

作品は読む人との関係がある。
拙い順から書き出すと

点数を付けるとすれば

  評価対象外
4−読めない
3−剽窃
2−詩法錯誤
−事実と異なる 叙事法に依る場合は可
  駄作
1−趣旨不明

0点

2−そう!

10点

3−そうなの!

30点

  まあまあ

4−そうだよね!

60点

  佳作
5−引き込まれそう!

100点

 

拙いにはそれなりの原因がある
拙くなる順に書き出すと

これも一法だが、こればかりではない
1−景物を見る
2−心情が喚起される
3−心情を写そうとする
注:上記は一般に行われる

これは必要とは限らない
4−その景物を使う
注:ここが巧いと拙いの分岐点

これがあると拙くなる
5−読者を意識しない
6−虚構に陥る
7−定型に頼る
8−古い詩法に拘泥する
9−論拠を先賢に委ねる
10−自己満足する
注:重なる毎に拙くなる

 巧い作品とは、例えば湖が有るとしましょう。水は澄んでいて、手を伸ばせばすぐに底に手が届きそうです。でも手を差し入れると、入れる度に深くなって、何時になつても底に手が届きません。

自己評価は重要です
 作品の練度を上げるには、作品に対する自己評価は重要です。ご自分の作品を上記要件のどの項目に該当するかを常に照合確認し、ご自分の位置を知ることです。

 

重要
 指導的立場の人は、作品が創れるだけでは周囲に対しての責任が果たせません。各方面の題材にも対応できる能力が要求されます。七題七叙をご参照ください。

 

 第一歩から手取り足取りの実作入門講座は、葛飾吟社の漢詩詞創作入門講座に掲載しました。

 どの様に綴るのか?
 作品と作者との関係をどの様にするのか?これは作品を作る上で最も基本となる要件です。

1−作品は作者に帰属し、作品と作者は一体を為します。

2−作品が作者に帰属しない、作品が作者と離れていて、作品自体が「一個の格」を有する作品は、この講座では一般的な詩詞の範疇には含めません。
註:この形態の作品は、日本漢詩壇独特のようで、他国の漢詩詞壇の作品では見掛けません。依ってこの形態の作品を他国の漢詩詞壇に投稿しても、評価の対象には成りません。

 何を綴るか?
 何を綴るのか?がわからなくては、どうしようもない!

 詩詞を綴るには二つの方途が有ります。

1−景物或いは物事に触れたとき、その中から自分の心を擽る心情を探し出し、自己の心情を目前の事象に仮託して綴る。

2−自己の心情が先ずあって、その心情を景物や事象に仮託して綴る。景物や事象は目前に有っても無くても構わない。経験の有無に拘らない。目前の景物や事象に仮託しても構わないし、総てが創造の産物でも構わない。

 何れの方途にしても、主体は自己の心情であって、漢詩詞を作ると謂う事は、景色を写すことでも、状況を写すことでもありません。作品を作ると謂うことは、ご自分の心の思い、訴えたいことを景物や事象に仮託して、小気味よい言葉で書き表す!或いは詠う事です。

 どんなに小気味良い言葉で書かれて、或いは詠われていても、その中にご自分の思い、訴えたいことが無かったら、仏造って魂いれずと成ってしまいます。

 ご自分の思い、訴えたいことを述べるために、文字を使い詠うのです。ですから、景物の描写や状況の描写は、目的ではなく手段なのです。

 現在我々が作る漢詩詞は、現代漢民族の詩歌です。中国の詩壇に通用し、選評の対象となる事が最低限の条件です。

 美辞麗句で綴られ、格律も整っていて、一見問題が無さそうだが、趣旨が不明確で、何を言わんとしているのか理解に苦しむ!これが一番困った作品です。

 自分の思いを自分で語るのは初歩で、自分の思いを読者が語る!これが上級です。

古典詩歌を作ると謂うことは、現実には出来ないことで、敢えて作るとすれば、それは擬古の作品と成って、一般の範疇には入りません。

綴り方

1− 漢詩創作のテキストでは△○▲●●○◎の印や平仄の文字を眼にします。

 「平」とは中国語の四声(accent)に関わり有る言葉で、第一声調と第二声調を「平」と謂い、○印で表します。同じく第三声調と第四声調を「仄」と謂い、●印で表します。

 △▲印は、基本的には、平或いは仄ですが、都合によっては替えても構わない事を表します。

 ◎印は、押韵と謂い、作品の決められた場所に同じ母音の文字を配置する事を言います。◎印の箇所は同じ母音の文字を配置するのです。

 

2− 殆どの文芸に起承転合が有りますが、詩は文章量が少ないので、起承転合は重要な要素です。

 四句詩の場合は、格句毎に起承転合が配置されますが、四句以上の場合は適宜に起承転合が配置されます。
四句以下の場合は、適宜省略が図られます。但し起承は一句に出来ますが、転句合句は省略できません。依って一般には三句以下には出来ない事となります。

 日本では起承転結と謂いますが、中華詩詞壇では起承転合と謂います。

 起句とは、入り口の句で、詠い出しです。

 承句とは、起句を受けて、少し方向を変えて内容を深くします。

 転句とは、起承句とは視点を変えて、内容に厚みを与えます。

 合句とは、結論を導き出す為の句ですが、作者が結論を述べずに、読者を結論に誘導する句です。依って読者を作者の領域に誘い込む効果があります。

註:日本の漢詩壇では、起承転結と謂い、最後の句に結論を書きます。結果として作品の厚みを損ね、作者の主観に主導され、読者との距離を大きくします。

 

3− 入門編で必要なテキスト・安直を紹介しよう

 漢詩を始めるとやたらと参考書が買いたくなる。いっぱい本を買いそろえたからと謂って上手くなるわけではない。此処の漢詩講座をダウンロードして使えば、参考書は全く無用と謂って過言でない。

 本屋の番頭ではないが、呂山太刀掛重男著 詩語完備 だれにもできる漢詩の作り方 発行所 呂山詩書刊行会 〒737 呉市長ノ木町8−36       

 漢和辞典が一冊必要だ。 角川書店 新字源

 現代韵が必要だったら、このページからダウンロード出来る。

  此でテキストは全部揃った。後は紙と鉛筆が有れば何も買う必要はない。

 だれにもできる・・・・・の使い方は、詩の作り方の説明は全部読み飛ばして、□○●◎の使い方だけを読めばよい。

最重要要件
詩歌創作の基本要件の順位は、以下の如くです

 1−人格、生き様、心構
 2−情
 3−詩法
 4−句法
 5−知識
 6−語彙

 

 1−2−3−4−が揃えば佳作が出来ます。
 1−が無くて、2−3−4−だけで作れば凡作と成ります。
 1−2−が無くて3−4−だけで作ると駄作となります。
 5−物事に対する知識がないと、誤った語彙を使う結果となります。
   世の中全員が無知とは限りません。恥をかく結果となります。
 6−叙事に相応しい語彙を用いますと、出来栄えを上げることが出来ます。
   然し、如何に語彙が整っていても、その基礎が軟弱では、困りものです。

 

ご注意!

 一番簡単な愚問ですが、日本語も漢字綴り、漢語も漢字綴りですから、中国の方々に読めない漢字綴りを書いてしまう御仁が居ます。

 詩詞は作品で有って、手紙などとは異なります。手紙はどうやら読めれば意志は通じ要件として成立しますが、漢詩詞作品はどうやら読めるのでは失格なのです。中国の方々と同等、或いはそれ以上の文章力が要求され、それが前提となっての創作なのです。

 せいぜい七字綴りの句では、其の過ちを犯す者は殆ど居りませんが、題や序文に其の過ちを犯す者が見受けられます。読めない漢語は、入門以前の問題である。

 

自由詩散曲元曲楹聯漢詩笠翁対韻羊角対漢歌漢俳填詞詩余曄歌坤歌偲歌瀛歌三連五七律はこの講座にあります