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五言律詩TopPage

 五言律詩とは、平韵五言絶句の本家親元に当たる定格である。この五言律詩を半分に千切ったのが仄起と平起の五言絶句である。そして律詩には仄韵の定格は無い。

五言律詩仄起

●●○○●,   ○○●●◎。起聯

○○○●●,對仗  ●●●○◎。頷聯

●●○○●,對仗  ○○●●◎。頸聯

○○○●●,   ●●●○◎。合聯

 絶句では起承転合と謂うのに、律詩では起聯頷聯頸聯合聯と謂う。絶句では起承転合が各一句が対応しているが、律詩では、各二句、即ち各一章が対応している。

 律詩の特徴は、對句の使用が必須な事で、他に目立った相違はない。對の詩法はとても数が多いが、此を簡便に纏めれば、次の如くである。

@ 文法構造が同じ

A 色は色で対応する

B 数は数で対応する

C 干支は干支で対応する

D 東西南北は東西南北で対応する

 

 此処での作例は、先ず心情が有って、それに景物を当てはめる方法で作ってみよう。だから景物・事象は目前にあるわけではないし、過去に遭遇した経験が有るとは限らない。頭の中で作られた景物・事象と理解すれば良かろう。

五言律詩仄起

●●○○●,   ○○●●◎。起聯 起
萬紫千紅老,   擔頭燕子鳴。  庚韵  p52-53

○○○●●,對仗●●●○◎。頷聯 承
幽斎眠不得,    芳塵画難成。

●●○○●,對仗○○●●◎。頸聯 転
託酒閑敲句,    耽吟豈欲名。

○○○●●,   ●●●○◎。合聯 合
山妻心執主,   白屋暮煙横。

 オヤジの頭の中は脳天気、それでも細君はオヤジの為にせっせと働く。

山妻之嘆
萬紫千紅老,擔頭燕子鳴。
幽斎眠不得,芳塵画難成。
託酒閑敲句,耽吟豈欲名。
山妻心執主,白屋暮煙横。

 

●●○○●,○○●●◎。起聯
萬頃潮風爽,天垂水接空。起句

○○○●●,●●●○◎。頷聯
亂雲如怨鬼,疎雨架文虹。承句

●●○○●,○○●●◎。頸聯
水歴遙然地,禽巡方寸蓬。転句

○○○●●,●●●○◎。合聯
清漣和逆浪,碧緑古今同。合句

 海は広くて、水平線は天とくっついて仕舞う。入道雲は死者の怨みの様だ。だけど雨が降れば綺麗な虹となる。雨は世界中に降り、平和な土地も戦乱の土地も、謀略も悉く、人の世の塵に交わり、川となって海を為し、荒波や小波を為して、青い海は昔と同じ。

註:この詩題「海」はある漢詩壇の投稿題として設定されたものである。このような題を詠物題と謂って、絶句なら四句とも、内容が「海」から離れないこと。律詩なら各聯とも「海」から離れないことが、ルールで有る。


萬頃潮風爽,天垂水接空。
亂雲如怨鬼,疎雨架文虹。
水歴遙然地,禽巡方寸蓬。
清漣和逆浪,碧緑古今同。


  春雨其一
昨夜終宵雨,潤花草欲萌。襲衣寒較減,數幣氣難平。
筆寫三年思,心盈兩地情。小齊書帙湿,無客聴檐聲。

  其二
啜茶聞檐溜,窗前雨似絲。籬邊梅子未,庭際牡丹遅。
筆寫拙功業,孫癒痛我思。待晴村巷静,柵上鳥相窺。

 

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