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 用事とは故事を用いること、即ち歴史上の言葉の一部を用いることに依って、一句七文字では表現できない多くの事柄を凝縮させることができる。

 しかしそれには、句中によく馴染む事が肝要であって、当を得ないと故事だけが浮き上がって混乱を来して却って詩を駄目にしてしまうから注意を要す。

秋日過員太祝林園  李渉
望水訪山二里餘,竹林斜到地仙居。
秋光何處堪消日,玄晏先生満架書。

註:望水訪山の句法は、こちらを参照してください
註:玄晏先生;参照晋書列伝

焚書坑  章碣
竹帛烟消帝業虚,関河空鎖祖龍居。
坑灰未冷山東亂,劉項元来不読書。

註:焚書坑儒;史記 秦始皇帝 李斯列伝
  劉項;史記 項羽本紀 高祖列伝

秦淮  杜牧
烟籠寒水月籠沙,夜泊秦淮近酒家。
商女不知亡国恨,隔江猶唱後庭歌

註:玉樹後庭歌  陳後主
麗宇芳林對高閣,新妝艶質本傾城。
映戸凝嬌乍不進,出帳含態笑相迎。
妖姫臉似花含露,玉樹流光照後庭。

参考
 用事法には、故事を取り巻く語句の取り扱いにおいて概ね二通りの方法がある。

1−故事に対して「順」
  主題が故事によって補完される効果がある。
  作品の殆どは、「順」で有る。

2−故事に対して「逆」
  故事と対比させることによって、主題を際立たせる効果がある。

3−故事の字句を一部変更する。
  読者が当然知っている故事と、字句を入れ替えた故事とを対比させ、主題を際立たせる効果がある。
  入れ替える字句は、「逆」とすれば、その効果が発揮できるが、曖昧だと却って逆効果となる。

 

  未到愚公歳 編者
案句耽吟共討論,何嫌寒窗究誌魂。
霜頭未到愚公歳,只畏懐痾已九泉。

  風月何齎 編者
多年案句乏時才,風月何齎紅葉媒
雨寫芭蕉揮醉筆,秋収水果無楓臺。

 

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