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仮称互関TopPage

 互文の講目で、中国人が謂うところの「互文」と聊か趣旨を異にする詩法が有った。然し互文の解説では、中国側の趣旨を取り上げ、趣旨の異なる詩法の解説しなかった。
 だが、趣旨が異なるとは謂っても、此は亦有用な詩法なので、文字が互いに繋がりを持ち転換するという意味から、仮の名を「互関」として、此の講を設けた。

 以下の例題は日本のテキストで、互文として紹介された詩句である。(仮称互換

問花尋柳

問     花    問花尋柳一風流,客途春興 高橋藍川
   ×
尋     柳

       花も柳も問い、尋ねもすると謂う意味である。

 

聴詩問画

聴    詩    聴詩問画恍移時,訪玉邨翁 太刀掛呂山
   ×
問    画
       詩も画も聴き、問いもすると謂う意味である。

 例題の構成は、問・尋・花・柳の四文字は、問花 問柳 尋花 尋柳の構成が成り立ち、同様に聴詩 聴画 問詩 問画の構成が成り立っている。

 亦、問花 問柳 尋花 尋柳 聴詩 聴画 問詩 問画の行為者、即ち主語は一つである。(注:主語が複数なら互文と成る)

考察之一
 この例題は、果たして互文と言えるのか疑問である。其れは、互文という句法に依らなくとも、その趣旨を読み取れるからである。例えば「問花尋柳一風流」の句は、花も問うし柳も尋ねることは、文字面通り読んでも読み取れる。同じく「聴詩問画恍移時」の句は、詩も聴くし画も問うことは、文字面通り読んでも読み取れる。

考察之二
 中国国内文献と例示資料には、明かな相違点がある。即ち中國国内文献類例の示す詩詞作品は、主語が複数存在すると言うことである。それに引き替え、例示資料は、主語が一箇しか存在しないと言うことである。主語が単数の場合は、交互に読替をする必要がないし、交互に読替をしても内容が変わらないのだから、互文ではないと思われる。

 

仮称互関成立の要件

1-主語が単数有ること。
2-交互に読み替えても、実現可能であること。
3-共通事項が、相互に成り立つこと。

作例

1−偸情拈句獨敲詩

詩法を考慮して読み替えれば  偸情拈句偸句拈情獨敲詩

 

2−嗅香煮茗不知飢

詩法を考慮して読み替えれば  嗅香煮茗嗅茗煮香不知飢

 

3−随風潤夜有誰知

詩法を考慮して読み替えれば  随風潤夜随夜潤風有誰知

 

4−有情添枕共相思

詩法を考慮して読み替えれば  有情添枕有枕添情共相思

 

5−繙書入夢掩柴門

詩法を考慮して読み替えれば  繙書入夢繙夢入書掩柴門

 

6−題詩適意酒盈杯

詩法を考慮して読み替えれば  題詩適意題意適詩酒盈杯


野馬臺詩 漢寶誌和尚

東海姫氏國,百世代天工。
有司為輔翼,衡主建元功。
初興治法事,終成祭祖宗。
本枝周天壌,君臣定始終。
谷填田孫走,魚絵生羽翔。
葛後干戈動,中微子孫昌。
白龍游失水,窘急寄胡城。
黄鶏代人食,黒鼠喰牛腸。
丹水流盡後,天命在三公。
百王流畢竭,猿犬稱英雄。
星流飛野外,鐘鼓國中喧。
青丘與赤土,范范遂為空。

 

 

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