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 この詩体は、五言若しくは七言律詩五首一組として成り立つ詩形である。説明はややこしいので現物を示して見よう。

 一行に収まらないと実感がつかめないので、五言にして表示した。

□□□□◎,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。

○○○○◎,□□□□◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。

○○○○◎,○○○○◎。○○○○○,□□□□◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。

○○○○◎,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,□□□□◎。○○○○○,○○○○◎。

○○○○◎,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,○○○○◎。○○○○○,□□□□◎

 先ず五言若しくは七言の律詩一首を作り、最初の作品の第一句□□□□◎の句をそのまま第二首目の第二句に用い、同様に第三首目の第四句に用い、第四首目の第六句に用い、第五首目の第八句に用いる。

 第一首目の第一句□□□□◎が順送りに次々と移動する様が恰も轆轤の如きで有るという所から、轆轤体と謂われる所以である。

轆轤体

1−春日閑窗
○○●●◎,●●●○◎。
開窗蝶恋香,案句興偏長。

●●○○●,○○●●◎。
我嘆春猶浅,妻栽菜正芳。

○○○●●,●●●○◎。
籬邊花幾点,雨後滴千光。

●●○○●,○○●●◎。
歳未修空意,無由老自傷。

 

2−春日閑窗
●●●○◎,○○●●◎。
陋巷小茅堂,開窗蝶恋香

○○○●●,●●●○◎。
漠然吾厭我,夢夢憶家郷。

●●○○●,○○●●◎。
艶麗花含涙,珠珠輝淡陽。

○○○●●,●●●○◎。
賦詩詩未就,墻角日増長。

 

3−春日閑窗
○○●●◎,●●●○◎。
菜花受雪霜,緑緑與黄黄。

●●○○●,○○●●◎。
執筆吾思舊,開窗蝶恋香

○○○●●,●●●○◎。
仰天羞傲骨,託酒慰愁腸。

●●○○●,○○●●◎。
重歳従疎懶,相説也自装。

 

4−春日閑窗
●●●○◎,○○●●◎。
風動白花翔,看前路渺茫。

○○○●●,●●●○◎。
妻謂梅有信,我見樹為妝。

●●○○●,○○●●◎。
養拙詩成癖,開窗蝶恋香

○○○●●,●●●○◎。
花禽和草木,矮屋是我郷。

 

5−春日閑窗
○○●●◎,●●●○◎。
狭庭果菜芳,陋巷又春陽。

●●○○●,○○●●◎。
欲賦平生事,望穿旅行装。

○○○●●,●●●○◎。
鶯鳴梅蕚白,露照菜花黄。

●●○○●,○○●●◎。
相坐薫風裏,開窗蝶恋香

 

創作の要点

1−
 第一首第一句を順送りに使ってゆく訳だが、ただ無造作に順送りすればよいと謂うものでもない。内容も順送りに成っていなければ、順送りにした意義がない。

2−
 平仄配列の都合で、第一首第一句をそのまま、第二首第二句に転載する訳には行かない。因って平起式仄起式を適宜使い分ける。

3−
 最終第五首は、最初の第一首に立ち戻れる体勢でなければならない。因って第四首で結論・収めとして、第五首は、第四首の承句、即ち第一首への予備段階とする。

 

 

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