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現代詩詞と古典詩詞創作上の違い TpPage

 小生は、現代中国詩詞壇との交流を前提に詩詞創作法を講じているので、現代生活に立脚した作品を作ることを勧めて居る。然し古典詩詞ではそれなりに素晴らしい作品を作っていたのだが、現代社会に立脚した作品を作ると謂った途端に、生硬な語彙を用いるように成ってしまう人が幾人か居るのである。

 蛇足の感もあるが、古典作品と現代作品の、創作上の違いを整理をしてみることとした。

1−
 詩詞の定型には、古典も現代もその区別はない。強いて言うならば、中華詩詞壇に於いて大勢を占めつつある、現代韻と現代四声に立脚した平仄ぐらいであろう。

2−
 古典と現代の区別を定型に拠っている者もいるが、前項に示す如く、定型にその区別はないのだから、その論は当たらない。

3−
 現代人が古典を作ると成れば、その異なるところは、物の考え方と内容だけだから、擬古・戯作品しかその範疇に入らない。

4−
 現実の問題として、現代に生きる人が、大昔の人の考え方をする事は、現実には不可能だから、戯作の域を出ることは難しい。

5−
 古典と現代の区別を、古くさい・・・現実社会の・・・に拠って居る者も居るが、漠然として明確さを欠く。

6−
 小生は、古典と現代の区別を、現実の社会に軸足を置いているか否かに拠っている。例え昔のことを詠っても、軸足が現在に有るのなら、其れは現代の作品であって、古典ではないのである。

7−
 作品を綴る上で、昔と今で違っている事柄は、人為的な物事だけで、他に異なるところはない。自然の景物や自然現象、人の感情など、大昔から少しも変わっていないのである。

8−
 古典の作品に使われている語彙の殆どは現代社会通用の語彙でも有って、現代作品にも充分に使えるのである。使えないのは、人為的な物事、例えば新たな構造物や、経済や政治上の名詞ぐらいである。

9−
 詩法は古い新しいに全く関わりがない。

10−
 現代に立脚した作品を作るには、人為的な物事を除いて総て古典に使われている語彙を使へば充分に用足りる。現代作品を作るからと謂って、生硬な語彙を使う事は、余程の注意が必要である。人為的な物事は、詩詞題や序文に書き入れれば用足りるので、詩詞句に用いなければならない事はごく希である。
 

 

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