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同じ文字を幾つも用いた作品TpPage

晩唐の詩人 劉駕の作

   暁登迎春閣
未櫛凭欄眺錦城,烟籠萬井二江明。
香風満閣花満樹,樹樹樹梢啼暁鶯。

主旨:未だ櫛も当てない明け方、欄干に凭り掛かって錦城を眺眺めると,・・・・。香風は閣に満ちて花は樹に満ち,樹樹の樹の梢に暁の鶯が啼いています。樹が3つ続けて使われています。

   元真作の行宮
廖落古行宮,宮花寂寞紅。
白頭宮女在,閑坐説玄宗。

 此処では「宮」の字が3回使われています。ところで、これに似通った作品、何処かで見た事が有りませんか?そうです。吉野三絶の一つとされる、藤井竹外の吉野懐古です。

 二つの詩を並べて書いてみましょう。
寥落古行宮,  宮花寂寞紅。   白頭宮女在,  闕ソ説玄宗。
古陵松柏吼天○,山寺尋春春寂寥。 眉雪老僧時輟掃,落花深処説南朝。
注:○InternetWaveで表示できない文字

 この様に並べられると、素人にも一目瞭然。場所と登場人物を入れ替えただけだ。

 寥落と松柏吼天○は同じ状況表現だ。更に中国では墓に槇柏の木を植えるそうだが、日本にはそんな習慣はない。余計な借り物までしてしまった。

 古行宮とは行幸の時の仮宮、古陵とは高貴な人の墓。宮花寂寞紅とは春ではあるが寂しい景色。山寺尋春春寂寥も春の寂しい景色、あちらは紅と言い、こちらは春と言う。 あちらは白頭宮女なのに此方は眉の白いお坊さん。あちらが説玄宗と言えば此方は説南朝と言う。

 今ならこういう作品を著作権侵害と謂い、盗作とか剽窃とも謂います。とんでも無いところで、藤井竹外先生ボロを出して仕舞いました。

   陳后主叔宝 戯贈沈后
留人不留人?不留人也去。此處不留人,自有留人處。

     岑参 憶長安曲
東望望長安,正値日初出。長安不可見,喜見長安日。

     游次公 卜算子
  風雨送人來,風雨留人往。草草杯盤話別離,風雨催人去。  泪眼不曽晴,眉黛愁還聚。明日相思莫上楼。楼上多風雨。

 

 

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