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漢詩詞の聲韵に付いてTpPage

 聲と韵は漢詩詞の格律を構成する基本的な要素である。だが此処に、中國は広大な疆域を有し多民族多言語国家なので、日本のように一民族一言語の方途では解決できない一面を有している。

 多民族多言語の国家では、太古から現代に到るまで、共通な聲と韵を保持することは、通常使用する言葉では、事実上不可能である。

 此を可能にするには、実社会の言葉と詩歌作品上の言葉では、聲や韵の齟齬が当然有るという前提で、詩韵や詩聲詩語を定める。此が即ち平水韵で有り、現代韵で有り、中華新韵であり、又詩語である。

 平水韵は古典で、現代韵と中華新韵は近年の編集である。だが何れの編集も中國全土の言語を齟齬なく網羅している訳ではない。此は物理的に不可能な事柄である。

 平水韵は中國全土と海外華僑を含めて、実社会の言葉と詩歌作品上の言葉では、聲や韵の齟齬が当然有るという前提で、網羅してはいるが、時代の変化に対応していないので、現実との乖離が大きいと云われている。然しながら、現代韵と中華新韵は現代普通話に順依しては居るが、未だ現代普通話が全国共通の言語と成っていない以上、矢張り齟齬は仕方のない現実である。

 漢語の語音は一個一個の音節が基本単位となっている。一個の音節は一個の字。字音は聲母・韵母・韵腹。韵尾・聲調など、五個の要素より成り立っている。

t i a n -(陰平)
聲母 韵頭 韵腹 韵尾 聲調

 此の五箇の要素の構成は固定的で有る。その中の第三位韵腹は響きの比較的大きな無音の構成で旋律生が豊富である。第五位の聲調は抑揚頓挫の語音効果がある。

韵母対照表
 詩詞韵目は現代韵・中華新韵・古典韵・十三轍の外にも幾つかあるが、現在多く行われているのは、此の四韵目である。これらの関係を分かり易く一覧とした。

韵母対照表

現代韵 中華新韵 古典韵(平韵のみ) 十三轍
01-麻 a ia ua 04-大 a 09佳 05歌 06麻 發花・ 麻沙
02-波 o uo 05-活 o 05歌 挨波
03-歌 e 05-活 o 05歌 06東 挨波
04-皆 ie ue.. ue 06-写 e 09佳 05歌 06麻 セ斜
05-支 hi zi si ci 07-詩 hi 04支 05微 08齋 衣欺・衣期
06-儿 er 07-詩 hi 04支 衣欺・衣期
07-齋 i 01-依 i 04支 05微 09齋 衣欺・衣期
08 微 ei uei ui 09-對 ui 04支 05微 08齋 09佳 10灰 灰推
09-開 ai uau 08-改 ai 09佳 10灰 懐來
10-姑 u 02-讀 u 06魚 07虞 姑蘇
11-魚 u.. 03-律 iu 06魚 07虞 衣欺・衣期
12-侯 ou iou 13-偶 ou 11尤 由求
13-豪 ao iao 10-好 ao 02蕭 03肴 04豪 遙条・遙迢
14-寒 an ian uan uan.. 11-粘 an 13元 14寒 15刪 01先 13覃 14塩 15咸 前言・言前
15-痕 en in uen un.. 12-新 in 11眞 12文 13元 12侵 人臣・人辰
16-唐 ang iang uang 14-放 ang 03江 07陽 江洋・江陽
17-庚 eng ing ueng 15-聲 eng 01東 02冬 08庚 09青 10蒸 中東
18-東 ong iong 16-東 ong 01東 02冬 08庚 09青 10蒸 中東

注:著者編集 un.. uan.. u.. などの・・を上付けに書き換えてください。
注:十三轍の韵目は呼び名を異にする場合が有ります。

 

 

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