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韵と平仄TpPage

 漢詩詞の創作や観賞する者にとって、韻と平仄は重要な関心事の一つである。漢詩詞愛好者が集まると必ずと言って良いほど、韻と平仄の問題が議題に上がり、平水韻、現代韻、中華新韻、詞韻、更には平仄など議題に事欠くことはない。その場に居合わせた筆者が何時も感じることは、これらの論議の起点をこのままにして有いのか?と言う取り留めもない疑問である。

 若い頃、張先生に中国語を教わったことがある。文字は今で言う繁体字、発音記号は併音字母という至極漢字國らしい記号であった。講座は週一で20人ほど、出席率の良い方ではなかったが、それなりに覚えた積もりで居た。然し残念なことに、数年して先生の都合で閉講と成った。張先生が居ないのでは仕方がないので、ラジオ講座を受講しようとスイッチを入れて吃驚!ラジオから流れてきた言葉は今まで耳にした中国語とは全くの別物の言語ではないか!改めて新聞を開くと矢張り中国語講座である。文字が簡略化されて簡体字に成った事は仕方のない事情と納得しながら、判然としない儘に暫く受講し、其処で知ったことは、同じ中国語とは言っても、日本語と英語ぐらいの開きがあるものだ!と言うことだ。このラジオ講座は、仕事に差し支えるので断念し、その後は聴いていない。

 嘗て中国観光をしたことがある。私の浅薄な耳では、あの細やかなアクセントの言葉は、何がなにやらチンプンカンプンで聞き取れない。ところが飛行機で観光地を換えた途端に、私の耳に入ってくる言葉が何やら意味を為している。あ!若い頃張先生に教わった中国語はこれだ!

 今年の冬、劉さんに連れられて、中国旅行をした。劉さんは中国人だから中国語が出来て当たり前だが、私は劉さんと日本語で話すだけ。上海空港到着後、劉さんの中国語が通じない?乗り合いバスで上海から西湖へ向かう。数時間の旅程である。劉さんに、どんな話をしているの?劉さんも余りハッキリは判らぬ様子。西湖観光の後、更に乗り合いバスで数時間の移動。夕食の材料にと食料品市場に行く。劉さんは売り子と遣り取り盛ん。私は劉さんと日本語で話す。売り子は劉さんに、貴方のお友達何処の人?劉さんは言う。福建の人だよ!

 私には架橋からの投稿も屡々ある。詩詞作品は確かに漢字だが、手紙はフランス語や英語。だがたまに得体の知れない言語がある。アルフアベット綴りだが、英和辞典では検索できない。英語でない言語だ!と言うことだけは判った。何れの言語にせよ架橋にとっては、日本人が漢詩を作るのと同じ環境のようだ!

 亦、日本人は一概に四聲と謂う。中華人民共和国は多民族国家だから共通語として「普通話」が謂われているが、福建語や広東語や上海語・・・・・などがある。これらが皆四聲とは限らないのである。五聲とも六聲とも・・・・謂われている。現実は一概に謂えるほど簡単ではないのである。

 さて、又詩詞韵と平仄の話題に戻そう。日本人の多くが討議する韵や平仄の議題が、果たして如何ほどの意義を持つのか?何処に起点を措いて議論すべきか、もう一度原点に立ち帰って看る必要が有ろう。

 

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