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三字尾

 詩句の最後の三字を「三字尾」と言う。三字尾の平仄配置が適当で有るか否かは、詩句全体の音律調和に関わりがある。新体詩では厳しいが、古体詩では七言古詩一韻到底格で、幾つかの規約があるものの、其れも緩やかな規約である。
 三字尾全部平字若しくは仄字を使うことは、「三平調」或いは「三仄調」(下三連)と言って、古体詩によく見られる。然し、格律詩は五言で有ろうと七言で有ろうと、平脚句或いは仄脚句で有ろうと、出来るだけ三字尾は同じ平聲とか仄聲とかを避けるべきである。近体詩では三字尾が全部、平聲字若しくは仄聲字の場合は「拗」と言って、基本定形外となる。

 三字尾は下三連を避けるべきと言うのは、音楽性の効果を考えるからである。格律詩句の末三字は、二つの音節から成っていて、音律から言えば、変化する必要がある。もし連続して同聲字を三っも並べれば、音律変化が無く単調となり、音調の抑揚がなかったらリズム感もなくなりる。従って一般的には、格律詩の末三字には必ず、平聲も仄聲も有って、其れによって音律を調和させている。もう少し範囲を広げれば、三字尾の平仄配置は、詩句全体の格律の有りようによって、決めるべき事柄である。

 格律詩に堪能な人は滅多に下三連の作品は作らないという。かと言って、現実には下三連の作品が無い訳ではない。たまに致し方なく下三連にする場合は、拗救の処置を講じなければならない。
 三字尾の標準格律は
1-○○●
2-●●○
3-○●●
4-●○○
の四種類がある。此処に三字尾の第一字は句中の奇数目の字で、節拍の位置ではなく、キーワードの位置でもないので、三字尾の三連を避ければ、基本的には三字尾の第一字に関しては、自由に平仄を選ぶことが出来る。此は格律違反にも成らないし、音律の調和にも影響を及ぼさない。ただこの場合でも、拗救の処置を為すか否かの配慮をする必要がある。
 ただこの事が許されるのは、1-・2-の形式だけであって、3-・4-に就いては、下三連に成るので、不可能である。

 

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