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隔句對・扇對

 あまり聞き慣れない詩法だが、隔句對(扇對)と言う詩法がある。一般に對句というと、出句に落句が對する形式が殆どである。二句一章と言う見方からすれば、章の中に対仗が有るとも言える。ただ日本国内誰もが使うという詩法でないから、齟齬のない確実な詩法として使用をしないと、詩法を知らぬ者から「對を為していない」などと有らぬ批判を受けることとなる。

 当然の事ながら章と章の対仗も考えられ、即ちこれを隔句對と言う。出句と落句を縦に書かずに横に並べて書くと、章の対仗は一句の間を開けた對の関係に見える。依って隔句對と言うのであろう。

 詩法は各々に相応しい用い方がある。詩法は表現手段なのだから、隔句対でなければ表現できないときにこそ用いるべきで、他の詩法で表現できるのなら有意性に欠ける。

 類例を用いて検討してみよう。
1−出句←落句:並列関係では、一般的な對句の詩法で事足りる。
2−出句←落句:流水関係では、一般的な對句の詩法で事足りる。
3−出句←落句:對法の埒外の関係では、隔句對の出番である。

 對法の埒外とは、整った句法として並列関係や流水関係には成らない、句を言うのである。頷聯二句は出句と落句は全く異なった句の構成で、対仗を為していない。頸聯の二句も同様である。

一例を示すと・・・・
頷聯  ●●○○○●●,○○●●●○◎。
    五尺蛾眉擦暗涙,傷時字字染華箋。

頸聯  ○○●●○○●,●●○○●●◎。
    三年惜別疏優面,任分朝朝起煮烟。

解:どんな理由で別れ別れになったかは知らぬが、始めは涙に暮れ、手紙ばかり書いていたのに、三年も経つと、相手の顔もおぼろげで、普段通りに朝飯の支度をしているとは・・・・・

 この女性を人妻とすれば、三年で旦那の顔もおぼろげでは、外で働く男は悲しいねえ!

 この女性を結婚適齢期の女性とすれば、別れて三年も経てば面影も忘れかけ、誰ぞと所帯を持ったのかな?朝飯の支度か?

 

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